様々な政府の曝露通知システム(ENS)にも採用されており、Bluetooth® 技術はコロナ禍に際し、感染経路の追跡や感染拡大の抑制において重要な役割を担っています。スマートビルディングに関する用途と相まって、Bluetooth技術は混雑状況の管理や衛生管理、タッチレス制御などのソリューションを通じて、オフィスや商用施設、公共施設などの再開にも役立っています。

Bluetooth技術はオフィスや商用施設、公共施設などの再開にも役立っています。

先日、東京大学の川原圭博 教授にお話を伺う機会がありました。川原教授は施設再開を支援するスマートフォンアプリの責任者であり、MOCHAと呼ばれるこのアプリは、コロナ禍で多くの大学が閉鎖を余儀なくされる中、東京大学のキャンパスを安全な再開を可能にしました。このソリューションが、室内の混雑状況のモニタリングや測定によりどのように感染拡大を防いでいるのかについてお話し頂きました。また、学生や教職員に新型コロナウイルスの感染者が出た場合、MOCHAがどのように濃厚接触追跡ソリューションとし機能するのかご説明頂きました。

 

川原圭博 教授 とのQ&A

MOCHAの開発経緯についてお聞かせください。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、大学のキャンパスは不特定多数が講義ごとに入れ替わる環境であることから、対面での授業が大きく制限されました。新入生は大学に入学後、クラスメートと会うこともできない状態が続いていたため、彼らが少しでも安全で安心なキャンパスライフを過ごす手助けができるように、スマートフォンアプリ MOCHA(MObile CHeck-in Application) の開発が始まりました。

室内の混雑状況のモニタリングにBluetooth技術をどのように活用していますか。

講義室や食堂、図書室など人が集まる場所にBluetoothビーコンを設置し、ビーコンからの信号をスマートフォンアプリで計測します。(この時、ユーザー名および位置情報は特定されます。)それにより、ユーザーのキャンパス内での滞在場所を判定し、記録します。この情報はサーバー上で集約され、場所ごとの混雑度が公開されたり、各ユーザーが自分自身で移動履歴を確認したりすることができます。

他のワイヤレス技術ではなくBluetooth技術を選択した理由についてお聞かせください。

どの教室にいるかを特定する必要があるシステムのため、G P SやWi-Fiによる位置情報の記録では精度が足りないと判断しました。また、Bluetoothのビーコンは入手性しやすく、様々な端末とも互換性が高いのが魅力です。必要な時に必要な数だけビーコンを手に入れることができるので、小さく始めて大きく展開することができました。

2020年9月に、教養学部の100を超える教室にビーコンを導入し、2021年4月時点では、1200以上のビーコンが設置されています。Bluetoothのビーコンシステムは調達と導入が容易であり維持コストも低いため、最適のソリューションだと感じています。

 

Bluetooth ® のビーコンシステムは調達と導入が容易であり維持コストも低いため、最適のソリューションだと感じています。

日本政府の接触確認アプリCOCOAの機能を補うような機能として、どのような機能を実装される予定ですか。

陽性者に聞き取り作業を行い、本人の許可を得た後、特定の日にちから一定の期間を遡って、キャンパス内の滞在場所のリストと同席者の匿名リストを作成し提供しています。その中で濃厚接触者が見つかった場合は、システムから連絡を取る機能も実装されています。

コロナ禍における施設の再開に向けたBluetoothソリューションに関する今後の予定についてお聞かせください。

コロナ禍における混雑度の可視化だけでなく、図書館の座席の予約や、食堂の待機列の長さの計測など、展開したBluetoothビーコンの活用方法は多数考えらます。いろいろな人がアイディアを出し合って便利なサービスを展開していければと思っています。

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